濱沖敢太郎のブログ

濱沖敢太郎(教育学)のブログです。主に研究教育のメモとして使おうと思っています。

日記260709

FacebookとかBlueskyに直でアップロードしてもよかったんですが、あとで自分が見返しやすいように、このブログを久々に活用することにしました。

今学期、初めて大学院のオムニバス講義を担当することになり、1コマで自分の分野のことを紹介することになりました。教員がそれぞれの専門分野について紹介するのが授業の趣旨なのですが、大学院1年向けの授業なので修論に向けて研究課題の設定や研究方法に関する内容を交える先生も多く、授業終盤に配置された私は何をやんべと困っていたところ。

結論、個票データの二次利用について紹介することにしました。計量的な分析は他の先生がすでに紹介されてるし、院生の修論執筆に向けて割と良い情報提供ではないだろうかと考えてのことです。

それで、前振りあるいは余談のために、『教育社会学研究』に掲載された査読論文(論稿)のうち、個票データの二次分析によるものを数え上げてみました。CSRDAが個票データの提供を始めたのが1998年4月ということで、1998年5月の62集から最近2025年12月の117集までが対象。論文総数307本のうち個票データの二次分析によるものは37本でした。下図は割合の推移。青線は1集ごとの割合、オレンジは過去3集を含む4期を合算して割合を出したものです。4期にしたのはとりあえず委員の任期を参考にしたもので深い意味はありません。

第100集が刊行された2017年頃からここ最近までの傾向を見ると、5本に1つくらいの確率で安定的に掲載されるようになった印象を受けます。

数え上げる時に気づいたのは、個票データの二次利用として判別しにくいケースがあるということです。比較的わかりやすいのはSSM調査のメンバーが過去のSSM調査データを一緒に使っているケース。これは当時の調査メンバーではないので、二次利用に含めました。難しいのは、公的機関が実施した調査への関与が考えられるケース。たとえば、川口・前馬(2007)が挙げられます。調査主体は研究者ではないけれど調査実施にあたって研究者がアドバイザーとして関与した場合、それを二次利用に数えあげていいのか迷いました。話はそれますが、判別のしやすさ・しにくさはさておき、これらのケースはデータの二次利用と言ってもその可能性が実質的に調査関係者に限られていたことを示すもので、調査に対するエフォートがなくてもデータを利用できるようになりつつあるのはすごいことだなとあらためて思いました。ちなみに、この期間中、SSM調査関係者を除いて最初に二次分析で掲載されたのは、アメリカのデータを使った林(2003)でした。現在SSJDAが提供しているデータ一覧には含まれていないのでよくわからないけど、ここでのデータ提供にもSSJDAが関わっていたとの記載が論文中にあります。

あとは、「個票データの二次利用」と言っても、より正確には「個票データを確認できるデータセットを、その他のデータセットと結合せずに使うこと」と表現した方がいいんだろうなとも思いました。面倒だからそんな言い方自分でもしないだろうけど。たとえば、長谷川・内田(2014)を「二次分析にもとづく論文」と言われたら私は違和感がある。この論文に限らず、複数の資料を集約して「新たなデータセットを作る」タイプの研究はたくさんあって、当然今回の集計からは外してます。

『教育学研究』など具体的な論文が思いつく雑誌が他にもあったんだけど、数年分やってみて数が少なすぎたのでどれもやめました。今後変わるのかもおもしろそうだけどなー。

日記240816

少し長めの記録をとりたいけどFacebookで内向けに書くのも何だかなー、と思ってブログの存在を思い出した。

以下の本を学生づてで知り、そのまま研修の元ネタ本にしたこの夏。

www.kyouiku-kaihatu.co.jp

露口先生のご研究は論文等で拝見してたんですが、この本は現職の先生方向けということで以前ここでも取り上げた?以下の本と合わせてネタ本にしたのでした。

www.nippyo.co.jp

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分野のせいか人物のせいか研修講師の依頼を頂くことが滅多にないので、ネタの使い回しなどできるはずもなく、必死に準備した結果、以下のような講義になりました。

(1限)

現学習指導要領から導入された「育成すべき資質・能力の3つの柱」というのは、奈須正裕先生に言わせると「仮説的な枠組み」に過ぎず、目標や内容を教科横断的に整理するにあたってより見通しの良くなるような考え方や概念を示すものではない。←以前学部の紀要に書いたものほぼそのままの内容。

(2限)

とはいえ「3つの柱」は、たとえば観点別評価における観点の統合に現実的な影響をもたらしている。次期改訂に向けた議論の中で関連する話題があがっているが、1限の内容も踏まえると観点の統合には様式の統一以上の意味を見出しにくい。この点、しばしば関係者は「現場への趣旨の周知徹底」を強調するが、むしろ行政や関係委員において指導要録をはじめとした様式や手続きの問題に焦点を置いた議論をすべきでないか。

(3限)

指導要領の趣旨を現場へ周知する手段の一つとして位置づけられているのが、全国学力・学習状況調査。調査方法の洗練ということが現在も議論・計画されているが、学習評価ではなく社会調査として考えると問題が多いことは度々指摘されている。ただ、いずれの立場からもこの調査に多少の意義が認められてしまうがゆえに大規模な事業として身動きがとれなくなっているようにも見える。

(4限)

中教審質の高い教師の確保特別部会の『審議まとめ』を画面共有しながら通しで読む。給特法や教職調整額の話題に注目が集まりがちだが、まずは「学校における働き方改革の更なる加速化」「学校の指導・運営体制の充実」「教師の処遇改善」という章構成をはじめ、問題の整理がどうなされているのか全体像を押さえることを大事にしよう。

(5限)

全体像を把握した上で『審議のまとめ』について考えるための補助線を提示。問題点のうち「働き方改革」については、給特法制定時ならまだしも「みなし時間労働制」に関する様々な制度改革が進んでいる中で『まとめ』の理屈は極めて苦しい。また、「教師の処遇改善」については、給特法と人材確保法の趣旨や具体的な関連制度が混乱しているように見える。

(6限)

「環境整備」を考える上では、適切な実態把握が必要。具体的にどのような実態把握がありうるのかを考えてもらうために、露口健司先生の本の内容をかいつまんで紹介。

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日記231019

すっかりサボっていました。紀要論文書くのに勉強。

各章8ページだけ、と飽きやすい自分にはありがたい構成。ただし、全30章。今12章。

 

先に↓読んだ時はサプリメンタリポイント、3元表や多重対応分析あたりの関係がよくわからなくて困ったんだけど、先先の章をチラ見する限り↑の本でなんとか理解できそう。

 

あとは変数の加工さえできればなんとかなる、はず。ただし、あと1ヶ月。

日記230317

正直に言うと積読だった。さらに、まだ一部しか読んでない。

 

けど、とても大事なことを書いている気がする。

 

 

 

日記230303

引き出しを増やす季節(でもある)ということで…

 

教員としては「読者として単純に楽しんでほしい」「こんな研究に憧れる学生がちょっとでも出たらうれしいな」「でも卒論で最後という大多数は絶対真似しないよ」三方向に引っ張られる。

 

 

 

日記230302

「20年前と現代の違い」を考えるときに「20歳の自分と40歳の自分が見ている風景の違い」だけじゃなくて「20年前の二十歳と現代の二十歳が見ている風景の違い」まで考えるのって大事だけど難しいよね。

 

…などと考えながら、この本がほぼ30年前の刊行。