濱沖敢太郎のブログ

濱沖敢太郎(教育学)のブログです。主に研究教育のメモとして使おうと思っています。

現実逃避という名の読書感想文

明日ある団体の研修に講師としてうかがうのですが、準備が終わってません。怠惰といえばそれまでですが、ちょっと言い訳すると、おおよそのプランは結構長いこと考えています。着地のさせ方が不安、90分話すのも久しぶりで不安。不安不安。不安なので投稿は1週間に1回までルールを破る。

 

神代健彦さんの『「生存競争」教育への反抗』を読みました。大学院から今に至るまで、本当にいろいろ教えていただいているので、それもコミでの感想ということになってしまうと思うのですが...

 

「手広くて、ついていけねぇ」が第一印象。内容がわからない、ということではないです。むしろ、わかりやすい。どこが問題かというと、仕事がら(?)どうしても「この問題を自分だったらどう書くのか、書けるのか」ということが気になってしまい、要するに「これ自分には到底できない仕事だ」という妬みなんでしょうね。

 

それで、その手広さに圧倒されたまま読み終える訳ですが、一息ついてこの本は何だったのかということを考えると「ベタな能力主義批判じゃね?」というのが次のステップ。もちろん、細かく見ていくと「ベタじゃない」ところはいろいろある。「生産」(というか、労働)の問題とか。しかし、ご本人が「おわりに」でベタな教育学の主張(の現代風アレンジ)だとおっしゃってるんだから、おかしな理解ではないはず。

 

そうだとすると、教育学との関係を「現代の教育論としての本書の主張と直接に関係するものではない」とある意味切って捨てるのは、読者への配慮あるいは著者の自負としては分かっても、主張の善し悪しを考えるときに「ちょっと待ったぁ!」という気持ちになってしまいます。

 

先日の記事でもちょっと書いたけど、僕が大事だと思う「能力主義批判」は制度設計がセットになるタイプ。だから、神代さんにはあえてガチの「ぼくがかんがえたさいきょうのきょういくかいかく」まで書いてほしい(話はそれからだ)という物足りなさが残ってしまう。とはいえ、それはたとえば道徳教育にかんするお仕事がその一つなのだろうし、もっと視野を広く持とうとすれば一人の研究者の手に余る仕事であることは明らかです。そういう意味で、本書はいろんな人を議論の入り口に立たたせようとするタイプの本なのかな、と思いました。

 

(...せっかくここまで書いたし、明日の研修でも使います)

 

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